「祐太郎君、そろそろ新幹線の時間だ。お土産も買うでしょ?行かないとだね。」
追加でオーダーしたデザートを食べ終えた絵奈は、名残惜しそうに別れを告げた。
「なんかあっという間だったな。ねぇ絵奈、またたまにこうやって東京で会えない?」
絵奈も同じ気持ちだ。久々に小学生に戻ったみたいで楽しかったのと、祐太郎は顔が好きなだけではなく、馬が合うから気になっていたんだろうなと、当時の気持ちを振り返る事ができた。
それにこんな感じでランチを共にするくらいなら、友達でしかない。信一に後ろめたさを感じる必要は無いと考え改めた。
「うん、私もすごく楽しかった!またこっち来る時連絡してよ!なんか給食風ランチの店がこの辺りにあったはず。祐太郎君と行きたいな!」
「へぇ、そんな店あるの?じゃあ今度はそこ行こうか!」
2人は定食屋を後にすると、自然と手を繋いで改札に向かった。
「絵奈、前会った時より綺麗になった?」
祐太郎がこちらを見て呟いた。
「え、、ありがと。パート先の女の子の影響でね、髪型変えたの」
絵奈は控えめに答えた。モテる女性は「あなたのため」なんてさらっと言えるんだろうな。
「そっか。なんか前と雰囲気変わってたからさぁ、今日は俺の方が緊張しちゃったよ。」
「…祐太郎君って、女の子の扱い上手だよね。やっぱ人生今に至るまで、モテてきたんでしょ?」
「…どうだろ?毎年バレンタインチョコは結構もらえるかな」
「やっぱり笑。昔祐太郎と付き合ってたらどうなってたんだろうね。私結構嫉妬深いからさぁ、、てゆうか、そんなポジションに私居なかったか…」
絵奈が自虐的に笑い飛ばすと、祐太郎は少し怒ったように遮った。
「なんだよそれ。さっき言っただろ?牛乳全部飲んでやったってさ。」
「そんな事言ったってねぇ…陰キャの気持ちは陽キャには分からないでしょうね」
絵奈は祐太郎を睨みつけた。
「…そんな事ってなんだよ。当時の俺に謝れよ。毎日毎日お前の牛乳ばっか飲んでなぁ、滅茶苦茶大変だったんだぞ」
祐太郎は絵奈を睨み返すと、絵奈の頬をぎゅっと挟んだ。
「ちょっと何なの!」
「ふっ。ツヨシへの仕返し。牛乳飲んであげたのは俺なのにな…。キミね、結構モテたんだよ。気付いてないだけ」
ツヨシって、、同じクラスのやたら絵奈にちょっかいを出してきた男子だ。何なんだろう。祐太郎君って、実は根に持つタイプなのかも。
「…よく分からないけど、昔辛い思いさせてごめんね?祐太郎少年に謝るわ」
絵奈は祐太郎の頭を撫でて謝罪した。
祐太郎は苦笑いしながらため息をつく。
「そんな事されたらさ、祐太郎少年が益々好きになっちゃうよ」
祐太郎は頭を撫でている絵奈の右手を掴んで指を絡めた。
絵奈は何も言えなくなった。
指を絡めたまま、2人は無言で新幹線改札に到着した。
「もう行かなきゃ」
「寂しいね」
祐太郎と絵奈の間には、まるで明日世界が終わるかのような絶望感が漂う。
「絵奈、最後にキスだけしていい?」
絵奈は迷わずに答えた。
「うん」
祐太郎が絵奈の髪を優しく撫でる。
「綺麗な髪」
絵奈の瞳を見つめて軽くキスをすると
「じゃあね、また会おうね」
と呟いて、改札の中へ消えていった。
絵奈はしばらくそこから動けなかった。
祐太郎の空気をそのまま感じていたかったから。
追加でオーダーしたデザートを食べ終えた絵奈は、名残惜しそうに別れを告げた。
「なんかあっという間だったな。ねぇ絵奈、またたまにこうやって東京で会えない?」
絵奈も同じ気持ちだ。久々に小学生に戻ったみたいで楽しかったのと、祐太郎は顔が好きなだけではなく、馬が合うから気になっていたんだろうなと、当時の気持ちを振り返る事ができた。
それにこんな感じでランチを共にするくらいなら、友達でしかない。信一に後ろめたさを感じる必要は無いと考え改めた。
「うん、私もすごく楽しかった!またこっち来る時連絡してよ!なんか給食風ランチの店がこの辺りにあったはず。祐太郎君と行きたいな!」
「へぇ、そんな店あるの?じゃあ今度はそこ行こうか!」
2人は定食屋を後にすると、自然と手を繋いで改札に向かった。
「絵奈、前会った時より綺麗になった?」
祐太郎がこちらを見て呟いた。
「え、、ありがと。パート先の女の子の影響でね、髪型変えたの」
絵奈は控えめに答えた。モテる女性は「あなたのため」なんてさらっと言えるんだろうな。
「そっか。なんか前と雰囲気変わってたからさぁ、今日は俺の方が緊張しちゃったよ。」
「…祐太郎君って、女の子の扱い上手だよね。やっぱ人生今に至るまで、モテてきたんでしょ?」
「…どうだろ?毎年バレンタインチョコは結構もらえるかな」
「やっぱり笑。昔祐太郎と付き合ってたらどうなってたんだろうね。私結構嫉妬深いからさぁ、、てゆうか、そんなポジションに私居なかったか…」
絵奈が自虐的に笑い飛ばすと、祐太郎は少し怒ったように遮った。
「なんだよそれ。さっき言っただろ?牛乳全部飲んでやったってさ。」
「そんな事言ったってねぇ…陰キャの気持ちは陽キャには分からないでしょうね」
絵奈は祐太郎を睨みつけた。
「…そんな事ってなんだよ。当時の俺に謝れよ。毎日毎日お前の牛乳ばっか飲んでなぁ、滅茶苦茶大変だったんだぞ」
祐太郎は絵奈を睨み返すと、絵奈の頬をぎゅっと挟んだ。
「ちょっと何なの!」
「ふっ。ツヨシへの仕返し。牛乳飲んであげたのは俺なのにな…。キミね、結構モテたんだよ。気付いてないだけ」
ツヨシって、、同じクラスのやたら絵奈にちょっかいを出してきた男子だ。何なんだろう。祐太郎君って、実は根に持つタイプなのかも。
「…よく分からないけど、昔辛い思いさせてごめんね?祐太郎少年に謝るわ」
絵奈は祐太郎の頭を撫でて謝罪した。
祐太郎は苦笑いしながらため息をつく。
「そんな事されたらさ、祐太郎少年が益々好きになっちゃうよ」
祐太郎は頭を撫でている絵奈の右手を掴んで指を絡めた。
絵奈は何も言えなくなった。
指を絡めたまま、2人は無言で新幹線改札に到着した。
「もう行かなきゃ」
「寂しいね」
祐太郎と絵奈の間には、まるで明日世界が終わるかのような絶望感が漂う。
「絵奈、最後にキスだけしていい?」
絵奈は迷わずに答えた。
「うん」
祐太郎が絵奈の髪を優しく撫でる。
「綺麗な髪」
絵奈の瞳を見つめて軽くキスをすると
「じゃあね、また会おうね」
と呟いて、改札の中へ消えていった。
絵奈はしばらくそこから動けなかった。
祐太郎の空気をそのまま感じていたかったから。

