正月の空気が終了し、胡桃の新学期もスタートし一気に日常に引き戻された頃。
今日の絵奈の予定は、コールセンターでのパートの後、胡桃のピアノの体験レッスンだ。
朝のうちに夕飯の下ごしらえを手際よく行なっていると、スマホのバイブ音が響いた。
祐太郎だ。
絵奈は結局、祐太郎のアカウントをブロック出来ずにいた。
返信しなければ、既読にさえしなければ問題は無い。なんて思っていた。
通知の画面でメッセージを確認すると
【おはよう!この前は色々勝手な事言ってご…】
これ以上読むには既読にしなければいけないが、
続きは…、前回の謝罪と東京での逢瀬の誘いといったところか。
一旦無視してパートへ向かおう。
絵奈は続きの家事を済ませると手短に身支度を整え、パートへと向かった。
絵奈のデスクに着席すると、隣は席替えが行われていた。
「おはようございます。初めて話しますね!赤木です。よろしくお願いします。」
「あ、私先週研修を終えたばかりで、ご迷惑おかけすると思いますが…中野っていいます!よろしくお願いします!」
中野さん、綺麗な子だな。切りっぱなしのボブに切れ長のアイラインが端正な顔立ちによく似合ってる、今時の若い女の子だ。
4時間のパートを終え退勤すると、丁度エレベーター待ちで中野が手を振ってくれた。
「赤木さん!実は話してみたかったんです。いつも可愛らしいですよね。そのコートも、めっちゃ可愛いです!」
「可愛い」なんて言われたのは何年振りだろうか?まさか若い女子からそんな風に言ってもらえるなんて。
「え、嬉しい。ありがとう!中野さんも凄く素敵。メイクとか、アラフォーとは違う感じで」
「そんな事ないですよ!私、平成レトロとか好きなんですよ!」
平成レトロ…か。平成は私の青春なんだけどな笑。平成がレトロになってしまった寂しさと、久々に容姿を褒められた高揚感と、絵奈は複雑な気持ちだ。
駆け足で職場を後にすると、次はピアノの体験だ。
銀行でお金もおろして、胡桃の皮膚科にも行かないと。
慌ただしく用事をこなしているうちに、絵奈は祐太郎からのラインを3日近く放置していた。
パートが無い平日、絵奈は恐る恐る祐太郎からのラインを開いてみた。
【おはよう!この前は色々勝手な事言ってごめん。絵奈が昔のままで嬉しくなってしまって俺も子どもみたいに暴走しちゃった。本当にごめん。急だけど明後日予定ある?出張最終日だから昼一緒にどう?】
思った通り、逢瀬のお誘い。
…明後日っていつ?今日?今日だ!
今日のランチ?今9:30だから、、ランチなら間に合うのか。ええと、どうしよう。
そもそも3日も放置してたし、既に裕太郎君の予定が埋まってるかも。
でも、断らないと。
【返信遅くなってごめんなさい。直前の返信で申し訳ないですが、やっぱり2人で会ったりするのは良くないと思うので、お断りします。】
絵奈が送信するとすぐに既読に切り替わる。
【全然。返信くれただけで嬉しいよ。
また来月出張ありそうだからその時ラインするよ。】
なぁんだ。
不覚にも、今から祐太郎に会えるかもという期待に、胸が熱くなってしまった。
そして、その期待を裏切られた絵奈は、がっかりしてしまった。
もっとしつこく誘ってくれればなと、胸の高鳴りを誤魔化すことは出来なかった。
絵奈は、祐太郎からの来月のランチの誘いが待ち遠しくてたまらなくなった。
今日の絵奈の予定は、コールセンターでのパートの後、胡桃のピアノの体験レッスンだ。
朝のうちに夕飯の下ごしらえを手際よく行なっていると、スマホのバイブ音が響いた。
祐太郎だ。
絵奈は結局、祐太郎のアカウントをブロック出来ずにいた。
返信しなければ、既読にさえしなければ問題は無い。なんて思っていた。
通知の画面でメッセージを確認すると
【おはよう!この前は色々勝手な事言ってご…】
これ以上読むには既読にしなければいけないが、
続きは…、前回の謝罪と東京での逢瀬の誘いといったところか。
一旦無視してパートへ向かおう。
絵奈は続きの家事を済ませると手短に身支度を整え、パートへと向かった。
絵奈のデスクに着席すると、隣は席替えが行われていた。
「おはようございます。初めて話しますね!赤木です。よろしくお願いします。」
「あ、私先週研修を終えたばかりで、ご迷惑おかけすると思いますが…中野っていいます!よろしくお願いします!」
中野さん、綺麗な子だな。切りっぱなしのボブに切れ長のアイラインが端正な顔立ちによく似合ってる、今時の若い女の子だ。
4時間のパートを終え退勤すると、丁度エレベーター待ちで中野が手を振ってくれた。
「赤木さん!実は話してみたかったんです。いつも可愛らしいですよね。そのコートも、めっちゃ可愛いです!」
「可愛い」なんて言われたのは何年振りだろうか?まさか若い女子からそんな風に言ってもらえるなんて。
「え、嬉しい。ありがとう!中野さんも凄く素敵。メイクとか、アラフォーとは違う感じで」
「そんな事ないですよ!私、平成レトロとか好きなんですよ!」
平成レトロ…か。平成は私の青春なんだけどな笑。平成がレトロになってしまった寂しさと、久々に容姿を褒められた高揚感と、絵奈は複雑な気持ちだ。
駆け足で職場を後にすると、次はピアノの体験だ。
銀行でお金もおろして、胡桃の皮膚科にも行かないと。
慌ただしく用事をこなしているうちに、絵奈は祐太郎からのラインを3日近く放置していた。
パートが無い平日、絵奈は恐る恐る祐太郎からのラインを開いてみた。
【おはよう!この前は色々勝手な事言ってごめん。絵奈が昔のままで嬉しくなってしまって俺も子どもみたいに暴走しちゃった。本当にごめん。急だけど明後日予定ある?出張最終日だから昼一緒にどう?】
思った通り、逢瀬のお誘い。
…明後日っていつ?今日?今日だ!
今日のランチ?今9:30だから、、ランチなら間に合うのか。ええと、どうしよう。
そもそも3日も放置してたし、既に裕太郎君の予定が埋まってるかも。
でも、断らないと。
【返信遅くなってごめんなさい。直前の返信で申し訳ないですが、やっぱり2人で会ったりするのは良くないと思うので、お断りします。】
絵奈が送信するとすぐに既読に切り替わる。
【全然。返信くれただけで嬉しいよ。
また来月出張ありそうだからその時ラインするよ。】
なぁんだ。
不覚にも、今から祐太郎に会えるかもという期待に、胸が熱くなってしまった。
そして、その期待を裏切られた絵奈は、がっかりしてしまった。
もっとしつこく誘ってくれればなと、胸の高鳴りを誤魔化すことは出来なかった。
絵奈は、祐太郎からの来月のランチの誘いが待ち遠しくてたまらなくなった。

