忘れられなかった初恋が、40歳で叶ってしまった

「…ごめん、覚えてないや。もう10年以上昔の話だし。確かに昔、祐太郎君の事好きだったのは認める。今も素敵だと思う。けど今は、お互い大切な家庭があるじゃん。暴走するわけにはいかない。」

絵奈は祐太郎の手を振り解き、うつむきながら訴えた。

まるで自分自身に言い聞かせるかのように。

「俺もそう思うけどさ、、久々に絵奈と話したらすげぇ楽しくて。やっぱり絵奈、小学生の頃から全然変わってないよな。…どうしても諦めたくない。」

祐太郎君は、勝手すぎる。
自分の気持ちを一方的に訴えて、その背景に傷つく人間が居るってこと理解してるんだろうか?

「ダメダメ、こんな不倫なんて、周りの人間傷つけて、自分達も傷ついて、良いことなんて一個もないんだからね?これだからモテる男は勝手だね!もう祐太郎君には会いたくない。バイバイ!」

「…絵奈って妙に良い子ぶる時あるよね?昔から。本心じゃないだろ?本当は…」
「何なのもう!そんな事言っても無駄だよ!そうやって祐太郎君はねぇ、、私のことおもちゃにして遊びたいだけなの分かってるんだからね?他を当たって!」

「…無理だな。絵奈以上に面白い人なんて居ないし、もっと遊びたい。絵奈で。」

この人は…人妻を何だと思ってるの?人妻はコロっと落ちるとでも思っているのだろうか??


そんな事言われたら

落ちたくなってしまう。やめてよ。


「いい加減、帰らないと!さよなら!」

「絵奈、今度年明け、東京に出張があるからラインする。ブロックしないでね?」

「やめて!ブロックするから!バイバイ!!!」

絵奈は通りかかったタクシーを呼び止めると、急ぐように運転手に伝えて、そのまま祐太郎を振り向かずに見えなくなっていった。