『銅賞、中野高校吹奏楽部、〇〇高校吹奏楽部、…』
「銅、賞なん、で、」
周りから部員たちのすすり泣く声や嗚咽が聞こえてくる
終わってからのミーティングでのこと
「みんな、悔しいよね私もです」
部長が話しているこの人は他の誰よりも悔しいんだろう
「ほんとに、悔しい、あんなに頑張ったのに、みんなで最高な演奏をしたのに金賞を取れると思ったのに」
「部長、」
私は部長が涙ながらに話す姿に小さく呟いてしまった
「私たち3年生は卒業ですが、1、2年生にはまだ、来年がある
私たちの想いを託します」
ぶ、部長、、
先輩、
と泣く友達や後輩がいる私もそのうちなのだが
「ううっ、」
「来年度の部長をパーリー(パートリーダー)の皆さんと話し
指名することにしました」
次の、部長、
「次の部長はあなたよ叶奏(かなで)
「わ、私、ですか?」
「うん、あなたなら私たちの想いを引き継いでみんなを引っ張れると思いました」
「私、頑張ります、、っ」
私の顔は見せられないほどぐちゃぐちゃだろう
それでもいい先輩たちに想いを伝えられるなら
「私、来年こそは金賞をとって全国に進みます、、っ」
「うん、お願い私たち3年生は応援してますなのでこの後悔をバネにして金賞を、全日本吹奏楽コンクールに進んでください、、っ」
「はい!、、っ」
「ほら泣かないで」
ぅぅっ、無理です、そんなこと、先輩との別れなんて
先輩、、
みんなもう、大泣きだ
「最後にスローガンの引き継ぎをしましょう」
「せーの!」
『心も音も合わせみんなで演奏を楽しむ!目指せ金賞!』
「私たちの思いが入っているスローガンです」
「はい、っ!」
「私たちの想いはここに」
せ、先輩、
「これでミーティングを終わりにします」
『気をつけーありがとうございました!』
「ありがとうございました!」

ここから半年部長となった鈴鳴叶奏(すずなりかなで)
先輩たちの想いを受け継ぎ部長として1歩を踏み出す