孤高の総帥は初めての恋に溺れる

そして碧斗は、まずロンドンを見渡せる
ザ・シャードの展望台のザ・ビューに連れて
行ってくれた。

ロンドンアイではなくロンドンで一番高い
ビルで空に突き刺さるように聳え立つ
ザ・シャードはロンドンを俯瞰するように
静かに佇んでいる。

ザ・ビューからのロンドンの景色は、素晴
らしかった。

夕焼けに染まるころが一番美しいのでまた
いつか見に来ようと碧斗は言ってくれた。

少し遅いランチをザ・シャードのレストラン
で食べた。

その後はリトルベニスの運河沿いをゆったり
と散歩して、碧斗の好きなテンプル教会にも
連れて行ってくれた。

テンプル騎士団の話が子供のころ大好き
だったらしい碧斗のお勧めの教会だ。

映画にも登場した事のある教会で騎士のお墓
が床に並んでいる。

ここは昔テンプル騎士団の本部だったそうだ
穂香はテンプル騎士団が実在したとは
知らなかった。

作り物の物語だと思っていたのだ。

碧斗にそう言うと、今夜じっくりテンプル
騎士団について話して聞かせると言われて、
及び腰になった。

結局晩餐会の時にラッセル卿と碧斗の二人
してテンプル騎士団について熱く語られて
しまった。

食事の後も延々と楽しそうに話す二人を
見ていると嬉しくなってしまった。

久しぶりに孫の碧斗と気持ちを通い合わせる
ことができてラッセル卿はとても幸せそうだ

部屋の隅に佇んでいるアーノルドが嬉しそう
に微笑んで時には目じりに涙を貯めている
のを見て穂香ももらい泣きしそうになった。