孤高の総帥は初めての恋に溺れる

穂香はグランドスタッフとしての仕事が好き
だ。

これから旅行に行く人たちのわくわく
する気持ちに寄り添って滞りなく出発できる
ようにお世話したり、ビジネスで行かれる方
には時間通りに出発し到着することが大切な
事なので、定刻にゲートを閉めるように心が
けなければいけない。

そして出迎えの時も笑顔で最後まで楽しい
旅行だったと思ってもらえるような
お出迎えがしたい。

そんな矜持を持ち6年間心を込めてゲートや
チェックインカウンターに立っていた穂香
だった。

充分やったと言う充足感はあるので、今度は
碧斗が望むなら愛する人の役に立つ事を、
彼に心の癒しを与えられるのなら碧斗の隣に
立っていたいと言う気持ちもある。

穂香はジョナサンに相談してみた。

「穂香がテオの横にいてくれるのなら
こんなにうれしい事はないし、自分はテオの
仕事を少しでも軽くできるように頑張るので
穂香にはテオの隣にいて彼の笑顔を守って
欲しい。それにほっておくと直ぐに食事は
不規則になったり食べない事もあるんだ。
睡眠時間も削って仕事をしてしまうので
その辺も穂香がいて管理してくれるなら
助かるし、テオもその方が幸せだと思う。
穂香と知り合ってからのテオは本当に
変わったんだ。仕事中はいつも冷静でどんな
時も表情は変わらずスタッフや周りの人達
には”氷の貴公子“って言われていたんだ。
今では彼らに微笑んで”ありがとう“とか
“いつも頑張っているね”とか言ってくれるん
だ。皆、信じられないと言ってるよ。穂香の
お陰なんだ。ぜひ前向きに考えて欲しい。
パーテイーや社交のマナーが心配なら専門の
講師をすぐに手配するから」

と諸手を挙げて喜んでくれた。