孤高の総帥は初めての恋に溺れる

「優依も空手を何年も習っていて有段者なの
でも止めてからもうかなり経つのに未だに
腕は鈍ってなかった。すごいね」

と言ってあっけらかんとしている穂香に、
碧斗は自分の股間を気にしながら穂香を絶対
に怒らせないようしようと密かに思った。

穂香たちを襲った男たちは、警察で事情聴取
を受けるとミレーヌ嬢に頼まれたと速攻で
ばらした。

彼女はご丁寧に名刺まで渡して連絡先まで
教えていたのだ。

とんだ悪女だけれどやはりご令嬢なのだ。
礼儀正しいと言うか自分のしていることが
悪いなんて思ってもいないのだろう。

殺せと言ったわけではなくて、連れ去って
二度と碧斗に会えないようにボロボロにして
東南アジアに売り飛ばせと言われたらしい。

碧斗はそれを聞いてぶちぎれた。

ロンドンにいるラッセル卿に連絡して、
”あなたの人を見る目はどうなっているん
です。あんな犯罪者を俺の妻にしようと
企んだんですか！“と言って攻め立てた
そうだ。

もう二度と会わないとまで言ったので、
ラッセル卿は娘を亡くした後にたった
一人の孫を失くす事になってしまったと
言って、気落ちして体調を崩し入院
したそうだ。

ラッセル卿の秘書で執事のアーノルドは、
碧斗に連絡して

「お願いですから一度ラッセル卿に会って
下さい。生きる気力を失くしてこのままでは
衰弱して死んでしまいます」

と言って碧斗に泣きついた。

碧斗はさすがに言いすぎたと思ったのだろう
穂香をロンドンに連れて行くことにした。