孤高の総帥は初めての恋に溺れる

暢気に二人で笑っていると

「穂香！」

と叫びながら碧斗が車から飛び出してきた。

碧斗は穂香を抱きしめて怪我はないかと、
体中をさすっている。

「もう止めてよ。優依が見てるよ」

優依はもう可笑しくて、壮絶なイケメンが
慌てふためいているのだが、どんな時でも
イケメンはかっこいいんだと納得がいった。

「あっ、優依さんですか？初めまして
穂香の婚約者の武庫川碧斗です」

とすっかり婚約者になってしまっている碧斗
が頭を下げた。

「初めまして、西本優依です」

「二人とも大丈夫ですかって、伸びてる男達
を見てわかりますが、怪我は？」

「「大丈夫です」」

と二人が同時に答える。綺麗にハモッテいる。

碧斗のボデイガードがすぐに駆け付けて、
男3人を拘束した。

まもなく警察が来て穂香と優依が簡単に事情
を聴かれたが、ラッセルグループの総帥が
いるのだ。

すぐに開放してもらえた。

碧斗は優依を彼女の働く会社まで送って
くれた。

マンションに帰ると、なんで穂香はいつも
男どもと闘っているんだと呆れられたが、
向こうからやってくるのだから仕方がない。

でも、いくら何でも穂香一人では3人は
相手できなかった。

優依がいてくれて本当に助かった。

碧斗にそう言うと“優依さんにお礼と
巻き込んでしまったお詫びもしないとな”
と言ってくれた。

「でも、優依さんも穂香もどうしてあんなに
強いんだ？」

と不思議そうに聞く

そういえばいつも男どもと闘っていると言う
碧斗に引っかかる穂香は、碧斗を問い詰めた

どうやらシンガポールで男二人をやっつけた
所を見られたらしい、それで納得がいった
穂香だった。

確かにこの2週間余りで２回も闘っている。