孤高の総帥は初めての恋に溺れる

「いいえ、それこそテオに一番必要な人です
ラッセル卿にはなんとしてもわかってもらい
ましょう。俺も頑張ります。なあ、テオ
いつまでも、ラッセル卿を無視するんじゃ
なくて正面からぶつかれよ。穂香さんで
ないとダメだってことを分かってもらうには
テオが話すしかないんだ。ラッセル卿は
あの時まだ穂香さんの存在自体も知らなかっ
たんだ。だからミレーヌ嬢をテオに合わせ
ようとしたんだ。穂香さんに会ったらきっと
認めてくれるはずだ」

碧斗はじっとジョナサンを見つめて、冷たい
声で

「ジョナサン、今度だけだからな。二度と
穂香に嘘をついたりしたら二度と許さない
から」

「うん、わかった。ありがとう。
肝に銘じるよ。テオにとって穂香さんが
どれだけ大事な人かよくわかったから」

「碧斗さんよかったわね。これで優秀な秘書
で大切な親友を無くさなくてもすんだわ。
じゃあみんなで乾杯しましょう。」

そして三人でもう一杯ずつワインとビールを
それぞれ飲んだ。

そして、ミレーヌ嬢の情報を共有して穂香
には必ず車で送り迎えさせる事とセキュリテ
イの完璧な碧斗のマンションにすぐに引っ越
してくることを約束させた。

ミレーヌ嬢が穂香の存在を知ってごろつきを
雇って穂香を傷つける可能性があるからだ。

ジョナサンが至急に調べさせると、どうも
そう言う素行の悪い令嬢らしい。

ウインダム家がもみ消した彼女の悪行も
色々出てきたと、ジョナサンは言った。

何としても彼女はラッセルグループの総帥の
妻というステータスが欲しいようだ。

実家のウインダム家の事業が思わしくなく
ラッセルグループと婚姻関係になれば援助を
してもらえると言う打算もあるらしい。

碧斗を気に入っている事も一番の要因だろう
が、実家の事もあり背水の陣のようだ。

碧斗はまずは最初にそういう事を調べるべき
なのに後手に回っている、執事のアーノルド
にも腹を立てた。

アーノルドはまさかウインダム家の令嬢が
そんな事だとは思いもかけなかったと、
落ち込んでいるらしい。

ジョナサンを叱り飛ばしたのに、浅慮は自分
の方だったとジョナサンにも詫びを
入れたそうだ。

ラッセル卿にもすぐに報告をしていて、卿は
碧斗に申し訳ないと彼もまた落ち込んでいる
ようだ。