孤高の総帥は初めての恋に溺れる

「穂香は僕と会ったこともない秘書の男と
どっちを信用するんだ。たった２日間だけど
僕は穂香が純粋で優しくてちょっと天然で
そうかと思えば男二人をやっつけてしまう程
強い事も知っている。そんな穂香が可愛くて
大好きなんだ。穂香は僕が秘書の手紙に
書いてあったようなそんな男だと思うの？
婚約が間近いのに、穂香とそんな関係に
なってしまうような女性と遊びで付き合う
ようなそんな男だと思うの？」

碧斗の真剣な青い瞳はじっと穂香を見つめて
いた。穂香もわかっていたのだ。

碧斗はそんないい加減な男ではない事を…

「わかってる。秘書の人は私を碧斗さんから
離したかったのよね。だから、まるで碧斗
さんがプレイボーイで誠意の無い男みたいに
書いてあったのも、わかってる。
でも、お爺様も秘書の人も碧斗さんの横に
立つのにそのイギリス人のお嬢様が
ふさわしいと思っていらっしゃるって事も
よくわかったの。だから、私じゃダメなんだ
と思ったし私も自信がないの。だから
シンガポールでの碧斗さんとの思い出は一生
の宝物にしようと思っていたの」

「勝手に、思い出にするなんて許さないから
シンガポールでも言ったけど、穂香が俺の
立場がいやなら総帥なんていつ辞めてもいい
んだ。次の人が決まればちゃんと引継ぎして
辞めるのなんか苦でもない。６年前に父と母
がある日突然事故で亡くなってしまってから
祖父から引き継いだ総帥の地位をそして
グループを守るために必死に寝る間も惜しん
で働いたんだ。休日なんてなかった。
先日はやっともぎ取った３日間の休暇
だったんだ。その時に穂香に会えた。
きっと父と母が穂香と会わせてくれた気
がするよ。僕の唯一で世界で一番大切な
愛する人を見つける事ができたんだ。
穂香がそばにいてくれるだけで心が温かく
感じるんだ。穂香となら本当に心の底からの
笑顔になれる。僕の側から離れるなんて
思うんじゃない。絶対に離さないからな。」