孤高の総帥は初めての恋に溺れる

機内から東京の秘書に連絡して、今回
できなかった会議は東京でWEB会議にする
ようにスケジュールを立てておくようにと
指示を出しておいた。

これで２～３日は体を開けられる。

その間に穂香を捕まえなければと
焦る碧斗だった。

穂香をどこでいつ捕まえればいいか考えた。

携帯にはアーノルド・ヤードつまり爺さんの
秘書兼執事でジョナサンの父親でもある男
から何度も連絡が入っていたが、碧斗は電話
には出なかった。

ジョナサンは碧斗のすさまじい怒りに、茫然
としていた。

父親のアーノルドに事情を説明して今日の
晩餐会には碧斗は出ないと報告しなければ
ならないが、自分の不始末をアーノルドに
話すのが恥ずかしかった。

父親には碧斗の秘書兼執事になるように
厳しく仕込まれたのに、碧斗と決裂して
しまった。

ジョナサンが悪いのは分かっている。

どんなことがあっても主人を裏切るような事
をしたり、信用を無くすことは一番しては
いけない事だと最初に父から叩き込まれた。

碧斗はもう自分を許してはくれないだろう。

そんなにも穂香は碧斗にとって大切で唯一の
女性だったのだと今気が付いた。

もっと早くに気が付くべきだったのだ。
それこそ主の体調が悪いことを気付けずに
倒れさせてしまうような最悪の事態だ。

碧斗は仕事では決して笑わず口の端を上げる
くらいがスマイルなのだ。

ジョナサンと二人でいてリラックスしている
時は表情も柔らかいが、穂香に向ける笑顔や
眼差しは全然違った。

蕩けるように笑っていたしその眼差しには
愛情がこもっていた。

そんな碧斗を見ていたのに何を間違えたのか
碧斗がお前はラッセル卿の秘書なのかと
言ったことで、目が覚めた。