孤高の総帥は初めての恋に溺れる

碧斗の雰囲気が尋常ではなかった。

ジョナサンを射殺しそうな目で見つめていた

「これはどういうことだ」

そういって、ジョナサンが穂香に書いた手紙
を突き付けた。

「まるで俺が浮気男よろしく女をとっかえ
ひっかえしているような印象を持たせる内容
に、イギリス人の令嬢と婚約が調うって?
噓ばっかり並べてどういうつもりなんだ」

そう言うとジョナサンの胸ぐらを掴むとそのまま
壁まで押しつけて締め上げた。

ジョナサンは息がつけなくなって、碧斗の
腕を叩いて降参だと言うように両手を挙げた

碧斗は力は緩めたもののジョナサンを離さず
ものすごい目で睨み続けている。

ジョナサンは自分が間違ってしまった事を
決して押してはいけないボタンを押して
しまった事を理解したが、今更挽回も嘘も
碧斗には通じないだろうと観念した。

「悪かった。ラッセルグループの総帥の恋人
になるには彼女には荷が重いと思ったんだ。
イギリス人の令嬢の話はラッセル卿から、
根回しが来ていて今日の夜の晩餐会に二人を
合わせる予定なんだ。ラッセル卿は
どうしてもそのご令嬢と碧斗を結婚
させたいんだそうだ」

「そうか、お前は爺さんの秘書で執事だった
んだな。なら、もう俺の所には来るな。
親子で爺さんの執事と秘書をやれば
いいだろう。失せろ。お前の顔は二度と
見たくない」

碧斗はジョナサンの胸ぐらを掴んだままドア
を開けて,放り出した。