孤高の総帥は初めての恋に溺れる

帰りの車の中でもいいように碧斗に褒め殺
されて穂香はもう言い返すこともできない。

「この後、僕の部屋に来ない。僕がギャング
じゃないとちゃんと説明するから」

こんな時間から男性の部屋に行くのは、
そういう事があることを覚悟して行かなけ
ればならないといくら恋愛経験のない穂香
でも分かっている。

もう26歳の立派に働いている女性なんだ
から…

穂香は自問しながら、碧斗ならそうなっても
いいと思う自分がいる。

碧斗に処女をもらってもらえるなら、たとえ
一夜の関係でも悔いはなかった。

そう決心した穂香は、碧斗に頷いた。

碧斗は少し目を見開いたが、心底嬉しそうに
穂香の手を握りしめた。

そしてここはアイランドリゾートの碧斗の
部屋、穂香は口をあんぐり開けないように
するので精一杯だった。

スイートルームの上を行くスーパースイート
というのか大きなL字型の白い革の
高級感が溢れたソファーが広いリビングに
置かれている。

床は無垢のフローリングのようだ。
ソファーの前の木のローテーブルの下には
深いブルーのペルシャ絨毯が引いてある。

3年ほど前にペルシャに旅行に行った時に
なぜかペルシャ絨毯のお店に入ったら
そのお店の店長に好かれてペルシャ絨毯に
ついて長々と蘊蓄を聞かされて、どんな
物がどれだけ貴重で高いかを教えられた
その知識を思い起こすにこの色合いと
この模様は最高級品にあたるはず、きっと
何百万もするだろう。

全体的に色目を抑えたすっきりとした
部屋のアクセントになっている。