孤高の総帥は初めての恋に溺れる

フライヤーには待たずに乗れたというより、
碧斗と穂香以外誰もいなかった。

「碧斗さん、フライヤーって案外人気が
ないんですね」

「えっ、どうして」

「だって、私たち以外誰もいないんだもん。
こんなんでやっていけるんですかね」

経営面まで心配する穂香が可笑しくてまた
碧斗は笑ってしまう。

「2時間貸切ったんだよ。だから何回でも
乗れるよ」

「ええっ~、貸切ったって碧斗さんやっぱり
ギャングじゃないですか!フライヤーの
スタッフ脅したりしてないですよね」

「あはは、本当に穂香は発想が面白いなあ
ギャングじゃないし脅してもいないよ。心配
しないで思いっきり楽しんで」

結局二人は2周して1時間近くフライヤーに
乗っていた。

碧斗はシンガポールが一望できるフライヤー
の中で穂香にシンガポールの事を詳しく
話してくれた。

ついでにシンガポールのお国事情や歴史も
教えてくれて穂香はメモを取りたくて仕方が
なかった。

心の中で覚えていられるかなあと、心配に
なる穂香だった。

その後は中華レストランに連れて行って
くれた。

とても高級そうな中華レストランで穂香は
ジャケットを持ってきてよかったと胸を
撫でおろした。

レストランですぐにトイレに掛け込み
さっきの碧斗のシンガポールの話をいつも
持ち歩いているネタ帳に書き込んだ。

シンガポールは組織的な犯罪グループは
ほとんどないと言っていた。

治安もいいらしい。

その代わりほんとに小さなことでも罰則が
あると碧斗は教えてくれた。