孤高の総帥は初めての恋に溺れる

「僕はそんなに女性とお付き合いした事は
ないよ。仕事が忙しいからいつも“私より
仕事が大事なのね“って、振られるパターン
だよ」

そんなことを話しながら、船に乗って
港に着くと、運転手付きのすごい車が
待っていてびっくりする。

これは何という車なのか?きっとロールス
何とかという車だ。

ほんとに碧斗さんって何者なんだろうと、
訳が分からなくなってくる。

穂香は自分が場違い感半端なくて、そわそわ
してしまう。

「どうした穂香」

「碧斗さんこの車すごいんですけど、
チャーターして下さったんですか?」

「いや、シンガポールに来たら乗る車だよ」

「ええっ、碧斗さんって何者?モデルさん
かなと思ってたんだけどそんな訳ない
ですよね。こんな車に乗ってるなんて、
ギャング?」

「ギャングって…」

絶句した碧斗が、次の瞬間大笑いした。

運転手の肩も小刻みに揺れているからきっと
笑っている。

涙目になりながら

「穂香ってすごい想像力だなあ、僕って
ギャングに見える?」

「う~ん、シンガポールギャングって
碧斗さんみたいにかっこいいのかなあって」

そう言いながら穂香も自分の発想に可笑しく
なって笑ってしまった。

でも小説を書く時はそんな突拍子もない
発想力も大事なのだと思っている。