孤高の総帥は初めての恋に溺れる

しばらく二人は地平線をじっと眺めていた

「神秘的だったね。とても感動した。
僕も泣きそうだった」

「知らないうちに涙が溢れていたわ。自然の
生業には何も叶わないと思った。そして昨日
知り合ったばかりの碧斗さんとこうして
並んでその神秘を見ているなんて奇跡ね」

二人はそれからすっかり太陽が空に顔を
出すのを見つめていた。

でも、そこで穂香のお腹がきゅるっと音を
立てた。

二人で顔を見合わせて大笑いしながら、

「僕のお姫様は空腹のようだから、朝食を
食べに行こう」

碧斗はそう言って、繋いだ手を引っ張って
穂香を絶たせた。

「もう、恥かしいわ。私のお腹ムードも何も
ないわね。花より団子って事ね」

碧斗は何それと言った。

「つまりね、ロマンティックな事や美しい花
より何か食べる方が大切って事」

そういうと穂香はケラケラと笑って、碧斗を
引っ張って朝食の取れるレストランに
向かって走った。

二人でゆっくりと朝食をとりながら色んな
話をした。

碧斗は東京からの飛行機も一緒だったと
言って穂香を驚かせた。