孤高の総帥は初めての恋に溺れる

「ずっと息を止めていたの?
窒息しちゃうよ」
と言って笑った。

「だって初めての経験でどうしたらいいか
わからなかったんだもん」

「鼻で息をするんだよ」

「そうなんだ、わかった」

「じゃあ次は大丈夫だね」

穂香は何も言えなかった。

次もあるのかと考えていた。

そしてこのキスの意味も穂香には
わからなかった。

旅のお遊びのつもりなのか、碧斗ほどの
容姿なら女は履いて捨てるほど寄ってく
るだろう。

わざわざ穂香みたいな普通の女に手を出
さなくてもボンキュッボンのセクシーな
美女を選び放題のはずだ。

実際昨日のカジノでもたくさんの女性が
碧斗に視線を送っていた。

穂香は恋愛経験がほとんどない。

高校や短大時代は女子ばかりの学校で、
いつも親友4人で行動していたので男の
子は近寄ってはこなかった。

4人でいるとよくナンパされたけれど、
みんな鬱陶しいのでいつもすげなく断っ
ていたのだ。

だから彼氏いない歴ほとんど年齢だ。
穂香は考えても仕方がないので、流れに
任せることにした。

穂香にとってもこんなに美麗で素敵な
男性と一日過ごせるなんてラッキー
以外の何物でもない。

だから、この時間を楽しもうと決めた。