孤高の総帥は初めての恋に溺れる

それなのに、昼間見た光景がいまだに
信じられない。

自分より大きな男二人をあっという間に
ねじ伏せたのだ。

碧斗の周りに寄ってくる香水をこれでもか
と振りかけて胸をアピールしているような
華美なドレスに身を包み、碧斗にしなだれ
かかってくる女どもとは全然違う穂香に
碧斗は好意以上のものを抱き始めていた


女なんて今まで欲望のはけ口ぐらいに
しか思ったことはなかった。

父母が亡くなってからは、それこそ寝る暇
もないほどに働いてきたので恋愛なんて
悠長な事はやっていられなかったし、
そんな気になった女もいなかった。

適当に寄ってきた女と付き合い仕事が
忙しい碧斗に呆れて去っていくと言う
パターンの繰り返しで、この2~3年
はそんな事も面倒で、いい寄ってくる
女を黙殺していたのだ。

なのに、穂香にはなぜか惹かれる。
自分から近づいて行っているのだ。

こんなことは初めてだ。
きっと一目で恋に堕ちてしまったのだ

香水の匂いじゃなくてシャンプーやボデイ
ソープの爽やかな匂いに穂香自身の匂いが
混じって碧斗を酔わせる。

初めての恋に戸惑う碧斗だったが、一つ
だけはっきりしている事がある。

どうしても穂香を手に入れたい。自分の側
に、腕の中に囲い込んでしまいたい強い
想いに碧斗はどうしようもなく翻弄されて
いた。