孤高の総帥は初めての恋に溺れる

その時日本語で

「やあ、こんばんわ。ルーレットを
やりたいの?」

と少し低めで耳障りの良い声で耳元で
囁かれ、びくっとして振り返ると、
超絶美形の青い瞳をした長身の男性が
微笑んでいた。

”うっ、その微笑み凶器です“と思いながら
見たことのあるその人に、どこで会ったの
だったか思い出せずきょとんとしていると

「ひどいなあ、僕の事忘れたんだ。バスで
起こしてあげたでしょう。船に乗り遅れるよ
って」

「ああ、そうでした。その節はありがとう
ございました。あなたに寄りかかって眠っ
てしまっていて、ちゃんとお礼も言えずに
すみません」

「そんなことはいいんだ。
カジノは初めて?」

「はい、そうなんです。一応さらっと見て
回ってルーレットが初心者には一番お勧
めってネットに書いてあったんですが、
でも賭け方もよくわからなくてスロットに
した方が良いかなあと思っていた所です」

「じゃあ、僕と一緒にやろうか、賭け方は
とてもシンプルだから教えるよ、僕は碧斗
君は?」

「私は穂香です。稲穂の穂に香るです。
碧斗さんのあおは紺碧の碧じゃない
ですか?」

「あはは、よく分かったね。そうだよ。
とは十を書いて左側に点が二つの斗だよ」