孤高の総帥は初めての恋に溺れる

チケットの発券も５ブースくらいはあって
そろばんや計算機を片手にスタッフが
発券するそうだ。

チェックインも搭乗券にその機体の座席
番号がシールになっているものを張り付
けるのだとか、よくそれで毎回確実に
ゲートを閉められるものだと感心する。

搭乗人数もチケットの上の部分を捥ぎっ
て搭乗してもらい、その捥ぎった半券を
数えてドアの所でCAに乗客人数を伝え
ると言うものだったらしい。

何ともアナログ極まりない。

でも、祖母の時代はそれが普通だった
らしい。

発券をする人をキャッシャーと呼び、
自分が発券したチケットと現金が合わ
なければ始末書を書いたらしい。

祖母は最初ゲートやチェックインカウン
ターに配置されていたのだが、履歴書に
そろばん２級と書いたため，途中でキャ
ッシャーに配置換えされて落ち込んだと
言っていた。

祖母はゲートの仕事が好きだったのだ。

その時はボーデイングブリッジが常設の
ゲートは少なかったので、タラップで降
りてもらってバスで送迎することも多か
ったし、ＹＳ11のプロペラ機はゲート下
の近くに止められて、タラップの付いた
車が横付けされて、お客様はタラップを
降りてそのままゲート下まで歩いて貰っ
て階段を登ってもらったと言っていた。

雨が降ると最悪らしい。レインコートと
長靴はゲート内に用意されているので、
それを身に着けて傘を大量にカートに入
れてタラップの下で待ち構えて、お客様
一人一人に傘を差しかけて、お渡しする
そうだ。

そしてゲート下ではお客様の傘を受け取って
畳んでしまう係もいたとか…

もちろんスタッフはずぶぬれだ。

雨の日の31番ゲートが担当のグランド
スタッフの新人は、”雨の日の試練”と
呼ばれずぶぬれになっても、綺麗な
笑顔を絶やせず応対することになる
のだそうだ。