ちょうどよく、普段生活用水をためている水がめが近くにある。
近づいて、水がめの底に向かって上から両手を突き出し、「ウォーター!」と唱えてみる。
瞬間、両手の間から水がバシャーと出てきた!
十秒程で、水が止まった気がする。
初めての魔法は、MP消費の感覚なのか、頭がクラッとした。
しばらくすると、心臓がバクバクしてくる。
本当に私にも魔法が使えるのだと、主張するように。
水がめの中を見ると、五分の一程が水で埋まっていた。
なのでウォーターを追加で四回唱え、水がめをいっぱいにしてみた。
見上げたお父様は、とても嬉しそうにニッコニコと笑っていた。
「レオナ。ウォーターの魔法は、一日に十回しか使ってはいけないよ。それ以上使うと魔力切れを起こすかもしれない。そうなると、頭痛と吐き気で大変だし、ひどい時には一生魔法が使えなくなることもあるんだ」
「はい、お父様」
「よし、じゃあ残りは好きに練習していいよ。あ、くれぐれも無理はしないように」
「分かりました。では、庭師のアランにお手伝いを頼みたいです」
せっかくだから午後はもうひとつの魔法、薬学スキルを試してみたい。
「アランかい? じゃあ午後一番にレオナの部屋に来るよう伝えておくとしよう」
「ありがとうございます」
お父様と別れ、いったん自室に戻る。
午後に庭師のアランの時間をもらっているから、前もって薬学スキルのスキルボードを確認しておきたかったのだ。
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▽薬学スキル
○基礎魔法
薬草栽培(習得済み)
薬草の種を蒔まく 縦1メートル横0.2メートル 栽培期間15日 消費MP1
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薬学スキルの基礎魔法は【薬草栽培】らしい。
薬草の種を蒔くことができるみたいだ。
しかも栽培期間は十五日。思ったより短い! これはこれで結構有能だと思う。
あれ? 水属性魔法の時は気づかなかったけど、画面をスクロールできるんだ。
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薬草栽培 レベル2(SP0/5)
薬草の種を蒔く 縦1メートル横1メートル 栽培期間15日 消費MP2
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えっ! スキル自体のレベルアップもできるの?
内容から推察するに、どうやらレベルアップすると、MP消費効率が良くなるみたい。
じゃあ、ウォーターも同じようにレベルアップができるのかも。
後で確認してみよう。
新しい魔法が楽しみすぎて、スキップしながらダイニングにいったせいで、使用人みんなから温かい目で見られてしまった。
