善は急げということで、急いでご飯を食べて、早速庭先で練習をすることなった。
とはいっても貧乏領主。
本格的な魔法授業ができるような使用人はいないので、講師はお父様だ。
「よし。ではまず私が魔法を実演してみよう」
「はい! 魔法を見るのは初めてなので、楽しみです!」
「そうか、レオナは初めてだったか。じゃあまだ言っていなかったかもしれないが、私は土属性魔導師だ。その私が使える魔法は……」
そう言うとお父様は右手を前に突き出し、そして、「ストーン!」と唱えた。
すると、顔面より大きな石がお父様の手に現れた。
なるほど予想通りだが、前世ではただの空想だと思っていた魔法。
それを実際に目にできるとなるとやっぱりワクワク感がやばい。
続いて、「ストーンウォール!」と唱えると、ズズッと一瞬にして土壁がそそりたつ。
「すごーい! 土壁がバーッて飛び出てきた!」
こちらは打って変わって迫力が半端ない。
「ストーンショット!」
拳大のゴツゴツした石が、ビュンビュンと風を切ってまっすぐに飛んでいく。
「すごいすごい。とってもカッコいいです」
「このように、攻撃・防御系の魔法ばかりなんだ」
レオナの反応に満足したのか、お父様は得意げだ。
「ただ領内の土属性魔導師には、【レンガ生成】という土からレンガを作ったりと私ができない魔法が使えるが、反対に攻撃魔法は一切使えないという者もいる。要は同じ土魔導師でも扱える魔法は異なるということだ」
「なるほど」
「ただし【ストーン】は、私が確認する限り全員が習得している」
「ほうほう」
恐らくストーンは、水属性魔法でいうところのウォーターみたいな、基礎魔法なのだろう。
昨日自身のスキルボードをしっかり確認していたレオナは、すぐに納得した。
「我が領内の水属性魔導師は三名しかいないが、三人とも【ウォーター】の魔法が使えるんだ。だからレオナもこの魔法が使えるのではと思っているのだが、どうかな」
「分かりません。だけど、やってみたいです」
「おおそうか! では早速、その水がめでやってみようか」
