アランが足を止めた。
その目線の先には、畑を耕す人々の姿。
家族だろうか、何人かで作業しているようだが、笑い声はなく活気も感じられない。
また、既に収穫期であろう畑の作物も、彼らと同じように元気がなく、しなびている。
「レオナ様、こちらが屋敷に最も近い井戸です。今までマリーが管理していたもので、今後はレオナ様にお願いしたいとのことです」
その様子に釘付けになってしまったレオナだが、アランの声で現実に引き戻された。
レオナがマリーから引き継ぐのは、屋敷に最も近い共同井戸。
アランに抱っこしてもらい、井戸の中を覗く。
暗くてあまり見えないけど、水位が低いかもしれない。
この気候だし、恐らく枯れているのだろう。
「ウォーター」
複雑な気持ちのまま、魔法を使用する。
今日は魔力をほぼ使い切ってしまったが、ウォーターをレベル二までアップさせていたおかげで、なんとか満杯まで補充。
ただレオナの気分は晴れない。
領地の水不足がこれほど酷いなんて、水不足とは縁遠い前世を過ごしたレオナには、想像できなかったのだ。
魔法が使えるようになり、少々浮かれ気味だったことを反省し、今後は領地のためにできることを少しずつやっていこうと思うのだった。
