「ささ、レオナ様帰りましょう。せっかくだから少し寄り道して帰りますか」
惜しみつつマリーの実家を後にする。なかなか泣き止まないレオナを心配してか、帰りがてら、アランが抱っこしながら領内を案内してくれた。
アランに抱えられながら、辺りをキョロキョロしてみる。
道に沿って割りと規則的に建てられている家々。
石造りだが、結構しっかり作られているように見える。
何故始めに家に注目したのかというと、道行く人が少ないのだ。
単純に人口が少ないだけかもしれないが、活気がない。
「町の人達は、あまり外には出ないの?」
「あ~、この時間は日差しが強いですからね。大半の住民は、朝早く外出して用事を済ませています。それが済んだら、涼しくなる夕方までは家に籠もりますかね」
ただし、元気な子ども達を除いてですが、とアランが笑う。
「そうなんだ、知らなかった……。ねえアラン、他にもグライスナー領のこと教えてくれる? 私、あんまり外に出たことが無かったから、何にも知らないの」
「ええ喜んで。ではレオナ様。今見えるこの道が、大通りですよ。食べ物や衣類はここで調達できます」
「近くで見ても良い?」
「もちろんです」
大通りを歩きながら思う。あれ店少なくない?
食べ物が売ってるお店も、衣類を売ってるお店もひとつしかない。
道は広いが、両脇に建つ建物のほとんどは住宅のようだ。
その二店舗の品揃えも微妙だ。
八百屋? の方は、商品はサツマイモばかり。
新鮮なようには見えるけど、サツマイモばかりでどんな料理を作ればいいんだ。
衣類の店にいたっては、なんというか、服が少し傷んでいるように見える。
古着なのかな?
「お店はこのふたつだけ?」
「そうですね。グライスナー領は日用品の配給もありますし、生活する分にはこれでなんとか。他に必要なものがあれば、住民同士で物物交換したり、領主様に頼んで行商の際に仕入れていただいたりします」
「じゃあお店が少ない分には不満はないのかな?」
「そうですね……。なんというか、今はそれ以上に切羽詰まっているというか……。今領民が一番望んでいるのは、水なんです」
