あとから、お父様からざっと説明があったが、実際に私が屋敷外に出るのは、マリーがお暇をもらう来月初めからになるとのこと。
屋敷外といっても、大人の足で五分程度の距離のようだが、その間は庭師のアランが側に付いてくれるとのことだった。
薬草畑の管理も厳しくなってきたし、水属性魔法のレベルもそろそろ上げたいところだったので、私にとっては本当にちょうどいいタイミングだった。
「よぉし! この機会に水魔法のレベルを上げるぞ~」
◆◇◆◇◆
「はぁ」
ついにこの日が来てしまった。
お父様から聞いていた通り、今日でマリーが屋敷を離れてしまう。
使用人の中で唯一の女性だったマリー。
体調が悪いお母様の代わりに、レオナの世話係も兼ねていた。
だから、使用人の中では一番長い時間を一緒に過ごしたし、いっぱいワガママも聞いてもらった。
そんな大好きなマリーと毎日会えなくなる。
本当に寂しくて仕方ない。
「ねぇマリー。最後のワガママを言ってもいい?」
「なんでしょう? レオナお嬢様のワガママなら、マリーは何だって嬉しいですよ」
「あのね、マリーをお家までお見送りしたいの」
「まぁもちろんですお嬢様! 最後まで沢山お話しましょう」
マリーの実家は、領内では、屋敷からかなり離れた場所にあった。
だけど、大好きなマリーと話しながらだと、あっという間に着いてしまう。
マリーの実家はパンを作って生活していて、家にはかまどがあった。
ちょうど焼いているところだったようで、外まで香ばしい良い匂いが漏れている。
そういえば、今世ではまだ一度も食べていないな、と思い至る。
