【書籍化】貧乏家族の転生幼女は待望の水魔法の使い手でした~愛する家族とともに枯れた領地を潤します!〜



 マリーは、知っている限りの情報を提供してくれた。

 マリーによると、マリーが使える魔法はウォーターのみ。
 魔力切れにならないよう、魔法は一日十回までしか使ったことはない。
 スキルアップの方法は知らず、そもそもスキルアップという言葉すら初耳とのこと。

 本当はマリーのステータスも聞きたかったが、デリケートな情報かもしれないと思い、それは今度尋ねることとした。

「ありがとう、マリー。あと、庭先にある水がめなんだけど、水魔法の練習に使いたいの。明日からは私が補充してもいい?」
「承知いたしました。そうしていただけると私も助かります」
「良かった! じゃあそういうことで!」


 午後からは、ウォーターを二回、薬草栽培を十八回使用した後、ジョウロで薬草畑への水やりをした。
 アレスお父様からは、魔法は一日十回までと言われたが、MPは二十以上あるのだから十回で止めるなんてもったいない。
 そう思い二十回してみたが、身体には何の影響も無かった。

 早速お父様の言いつけを破ってしまったのには罪悪感もあるが、ルールを破るのはいつだって子どもなのだ。

 それに、これは領地のためでもある。


 それは昨日、庭師のアランから聞いた話。
 グライスナー領の状況は、レオナが予想していたよりもずっと深刻なようなのだ。

 雨量が少ないグライスナー領では、地下水だけで飲み水を賄うことができず、井戸をため池代わりに使い、水魔導師が水を補充している。
 そこまではレオナも知る話だった。

 ただし、必要なのは飲み水だけではない。

 レオナは知らなかったのだが、作物を育てるには、思っていた以上に水を必要とするらしいのだ。
 しかし、現状は、ただでさえ日差しが強いのに、充分な水を与えられていない。
 そうすると、当然作物は上手く育たない。

 一応、農業スキルを使った場合は、少量の水でも上手く育つらしく、そのおかげでギリギリ保てているが、領民達はみな疲れ切っているらしい。


 レオナが水属性魔法を授かったと知り、アレスお父様があれほど喜んだ理由が分かった気がした。
 きっとお父様は、この状況にずっと悩んでいたのだ。
 そこに誕生した待望の水魔法の使い手が私だ。

 といっても、まだ魔法が使えるようになったばかりで、できることは少ない。
 だけど、この水魔法があれば、このグライスナー領を、そして家族を幸せにすることができるかもしれない。


 そしていつかは、グライスナー領に温泉を作ったり……は、さすがに難しいかな。