庭に戻ると、既に小さな畑ができていた。
アランにお礼を言うと、早速畑に両手を置き、「薬草栽培!」と唱える。
すると、レオナの手元付近に種が蒔かれ、そのうちの半分程度は既に発芽していた。
「やった。上手くできた!」
と、思わずほくそ笑んでしまう。
「なんと! レオナ様は奥様と同じ農業スキルも授かられたのですか? 水属性魔法を使えるというだけでも非常に優秀であられるのに!」
「ううん、私の魔法は農業スキルじゃなくて、薬学スキルだよ」
嬉しくってドヤ顔で答える。まだ三歳なんだし、褒められたら素直に喜んでいいよね。
「な、な、なんと! これまた珍しい薬学スキルとは!」
とても驚いたのか、アランは手に持っていたクワを落としてしまった。
どうやらアランは、リアクションが大きめらしい。こんなに褒められたら調子に乗ってしまいそうだ。
「このアラン、精一杯お勤めさせていただきます」
◆◇◆◇◆
翌日、普段よりも早く目覚めたレオナが顔を洗いに水場に行くと、侍女のマリーがいた。
「おはよう。マリー」
「おはようございます、レオナ様! お早いお目覚めで」
「昨日は魔法の練習をしたから、疲れてたみたいで早く寝ちゃったの。それでかな」
疲れていたとはいえ、随分と早い時間に寝てしまったのが子どもみたいで恥ずかしくて、苦笑いしながら答える。
マリーは我が屋敷の侍女だ。
そして、領内に三人しか居ない(現在はレオナを含めて四人だが)貴重な水属性魔導師のひとりでもある。
優秀な人材なのに、ずっと真面目に我が家に仕えてくれて、本当に感謝してもしきれない。
「そうなのですね。あ! そういえば、レオナ様が水属性魔法を授かられたとお聞きしました。まだお若いのにもう魔法を使えるとは、さすがです。本当におめでとうございます」
「そうなの。マリーと同じだね」
「お嬢様と同じだなんて、光栄です」
「私も嬉しい。ねぇマリー、水属性魔法について知っていることがあれば、何でもいいから教えてくれない?」
「えぇ。私でよろしければもちろん」
