宵にかくして




そう言い残すと、宵宮さんはスマホを耳に当てながら部屋を出て行った。隣の自室に戻ったのだろう。


パタン、とドアが閉まると、部屋が急に広く感じられて、少ししんみりした気持ちになる。
 

……やっぱり、忙しい人なんだな。
学園を統率する立場、……お兄ちゃんたちと同じ組織のトップ、なんだよね……。


なんとなくの間、ぼうっと窓の外を見つめていれば、冷めかけているティーカップに気づいて、……少し考えた後、キッチンへと向かった。


宵宮さんが戻ってきた時に温かいものを出せるように、お湯を沸かし直そうと思ったのだ。


……瞬間、ピンポーン、と、かろやかなリング音が響く。


宵宮さん、もう終わったのかな……?
少し不思議に思ったけど、"すぐ戻る"という宵宮さんの言葉を思い出して、私は何の疑いもなく、玄関へと小走りで向かった。


……モニターを確認することも、忘れて。
 


「おかえりなさい、宵宮さ────」


ガチャリ、とドアを開け放って、笑顔で出迎えようとした、──────……その瞬間。


……ひゅ、と、言葉が、喉の奥で凍りついた。