宵にかくして




さっきのスーパーで紅茶の陳列棚をじっと見つめていたので、もしかして宵宮さんも紅茶が好きなのかな?……と淹れてみたけど、合っていたみたいでよかった。


ふたりでソファに並んで、温かい紅茶を啜る。
窓の外はすっかり暗闇に包まれているけど、湯気に満たされたこの部屋は春の陽だまりみたいに温かくて、ほっとする。


ずっと憧れていた人と、こんなふうに穏やかな時間を過ごせるなんて、ほんとうに夢みたいな時間だなあ……。
 

そんなふうに、幸せな余韻に浸っていた時。



――――ブー、と。
静寂を切りさくように、無機質な電子音が鳴り響いた。


確認してみると、私のスマホではない……ので、宵宮さんのスマホだ。
宵宮さんは画面を確認すると、すっと表情を引き締める。さっきまでのやわらかな空気から一転、ひやりとした温度が瞳を纏う。


「……悪い、ちょっと出てくる」

「は、はい……」

「すぐ戻るから」