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ウィッグと眼鏡はそのまま、実家から送ってもらったエプロンを制服の上からつけると、さっそく料理に取り掛かる。
……結局、買ってきた食材は全て宵宮さんがお部屋まで運んでくれた。せめて半分は、と涙ながらに訴えていると、なぜかぎゅっと手首を掴まれて、細……と若干驚いたように目を細めた宵宮さん。
『折れそう。却下』
『折れませんよ?!これでも力はある方で……!』
『サナは夕飯のメニュー考えてるだけでいい』
先ほどの会話を思い出しながら、買ってきた野菜と調味料でサラダとスープの準備をしていれば、ソファに座る宵宮さんからの視線を感じて、なんとなく顔を上げてしまう。
瞳が重なった瞬間、こちらを見ている宵宮さんが、ふ、と表情を熔かすので、どうしたんだろう?と首を傾げる。
「、……なんか、いーな」
「え?」
「誰かが自分のために料理してる音、久しぶりに聞いた」
その声からほんのりと寂しさのようなものを掬ってしまって、きゅっと胸が締めつけられる。



