宵にかくして




「咲菜」


 
逃げ場を塞ぐように、麗しい瞳に真っ直ぐと射抜かれる。ぐん、と、一瞬で宵宮さんの世界に引き込まれるみたいに、頭の中も視界も、すべてが宵宮さんで埋め尽くされていく。

 
……名前、また、呼んでくれた。
 


「他の誰でもない、……俺が、お前はここに居てもいいって言ってるんだよ」

「っ、え、」

「外野が何を騒ごうが関係ない。この学園のルールも寮の秩序も、全てが俺たちの管轄内だ」

 

自信に満ち溢れたセリフは、言葉だけでは傲慢に聞こえるはずなのに、不思議と背中を押されてしまうような、大丈夫だよ……って、こちらを安心させてくれるみたいに温かく響くから、その眩しさにゆらりと視界が揺れる。

 

「咲菜が怯える必要なんて、何一つない」

 
指のはらで目尻をやさしくなぞると、ほんの少しだけ口角をあげて、ふ、と笑みを浮かべる宵宮さん。そんな丁寧な仕草が心地よくて、真っ直ぐと向けられた笑みがあまりにも綺麗で、くつりと心臓が熱くなる。