「わっ、ほんとうに男の子みたい……!」
幸い背は低い方ではないし、男の子っぽい動作を意識すれば完璧に男の子にしか見えない……はず。声だけは変えられないけど、誰とも会話する必要はないし、……寮の前を通り抜ける"演技"としては十分だ。
来ていた制服は畳んでスクバに入れて、よし、と自分を鼓舞するようにぎゅっと手に力を入れた。
「(だいじょうぶ、なはず……!)」
準備室の小さな窓からそっと様子を伺うと、門を囲うような女子生徒がさっきよりも更に増えているように感じて、……思わずひ、と声が漏れそうになるのを抑えて、息をひそめて外に出た。
女子生徒の様子からして、まだ宵宮さんたちは帰ってきていないだろう。
忍び足で壁沿いを伝いながらも進んでいれば、門の入り口が見えてくる。変装のおかげで誰にも怪しまれずにここまで来ることができたし、あとはもう寮の中に入るだけ……と、安心からほっと頰を緩ませた、────……数秒後。



