宵にかくして




その口元が、静かに、けれど確かに、……やわらかく弧を描いた。



「(昨日と、同じ表情……)」



動揺から微かに手が震えて、かたり、カトラリーが小さな音を立てた。


"また明日"という宵宮さんの言葉を思い出して、……もしかして、なんて、……自意識過剰な答えを見つけてしまいそうで、あわてて首をすくめるようにして視線を逸らす。


……こんなに大勢人がいる中で、宵宮さんが私を見てるなんて、そんなことあるわけない。


ついさっき、もう見ない、考えないって決めたばかりなのに、簡単に揺らいでしまう自分が嫌になる。

 

「……えまち、大丈夫?顔真っ赤だよ〜?!」

「っだ、だいじょうぶ……!ちょっとハンバーグが熱くて、」

 

心配そうなふたりに顔を覗き込まれて、あわてて笑みを浮かべながら、赤らんだ頬を手のひらでぱたぱたと扇いで熱を冷ます。


……ばか、さすがに自意識過剰すぎる……!



「じゃあ、口直しにあたしの冷やし中華を一口」

「あっ、ナツずるい〜えまち、わたしの冷製パスタもあげる!」
 
「、ふふ。ふたりともありがとうっ」  

 

胸の奥に残る淡い余韻のようなもの、……やわく微笑む姿をそっとかき消して、改めてふたりに小さな笑みを向けたのだった。