宵にかくして




小さな頃から様々な武術をお父さんから叩き込まれていたのは知っていたけど、まさか、少し会っていない間に兄たちが暴走族に所属しているなんて予想外すぎる……。


そんな話題の欠片も兄たちから聞いたことはなかったし、……私の近況はすごく細かく聞いてくるのに、肝心なことは教えてくれないんだから……!



予想の斜め上を行く事実に思わず放心してしまう私、……怯えていると勘違いしたのか、紬ちゃんはあわてた様子でぱたぱたと手を振りながら笑顔で言う。

 

「大丈夫だよえまちっ、桜蕾は怖くない!……た、たまにこの人たちやばいな〜と思うことはあるけど、基本こっちから踏み込みさえしなければ、何も起きることはないから」



 ……や、やばいなって思うことはあるんだ……?!
その辺りを詳しく聞きたいけど、ここで追求しても変に思われるだろうし、きゅっと口をつぐむことしかできない。



そうなんだ、と紬ちゃんの言葉にこくりと頷けば、紬ちゃんの少し遠慮がちな指先が宵宮さんたちのテーブルの方を指す。