宵にかくして




「……やば、ふつうに無意識で抱きついてた。あんた可愛すぎないか?てかマイナスイオン出してる?」

「わかる、蒼唯さんの周りの空気なんか澄んでるもん〜!」


3人でハグをしたあと、ふたりに名前で呼んでほしいとお願いされて、……すごくうれしい提案に、おそるおそる口を開いた。

 

「紬ちゃん、夏莉ちゃん……!私のことも、えま、って呼んでくれたらうれしい、です」



私の言葉に顔を見合わせたふたりは、同時にぱあっと表情を明るくさせて。
 


「えまちって呼ぶ!よろしくね、えまちっ」

「えま、改めてよろしく」

「ふふ、うんっ。よろしくね……!」


そのまま夏莉ちゃんがやさしく手を引いてくれて、紬ちゃんも反対側にぴたりと並んでくれる。
 

両側をはさまれる形で歩き出すと、自然と笑みがこぼれた。



─────ぎゅっと、さっきまで緊張で固まっていた糸が、少しずつゆるんでいくのを感じて、……ふたりに手を引かれるまま、教室を出たのだった。