「、これをこうして、うん、完成……!」


鏡に映る自分と向き合って、ウィッグがずれないかを確認する。前髪は目の上ぎりぎりまで長くて、毛量も多いからほとんど表情は見えない。


きつく縛った三つ編みはオシャレの欠片もなくて、スカートはもちろん膝丈。


仕上げに瓶底のようなメガネをかけたら、……どこからどう見ても、地味で冴えない蒼唯咲菜(あおい えま)の出来上がり。



なかなかの出来に、ふふ、と笑ってみると、鏡に映る自分があまりにも不気味で、この姿で笑うのは控えよう……とひそかな決意を固めていると。



「咲菜、新しい学校の制服はどう?……って、咲菜その格好、」

「あ、おはようお母さん。どうかな、この格好……?私だってわからない?」

「ふふ、すごいよ咲菜……!お母さんでも一瞬分からなかったよ〜」



にこにこ笑って頭を撫でてくれるお母さんに、ほっと安心のため息をこぼす。