宵にかくして



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バタン、と扉が閉まったのを確認すると、宗英はゆっくりと執務机に戻る。


机上のファイルを開き、一枚の紙を抜き取った。



そこには、整然と並んだ文字の列─────……“蒼唯咲菜"の履歴書。


年齢欄の「14歳」という数字のすぐ下に、数々の経歴が続いている。



英語検定、日本語検定、数学検定、簿記から実用マナーまで様々な資格の取得が記されている。ページをめくれば、弓道、書道、プログラミング検定と、……まるで年齢と常識の枠を軽々と飛び越えた履歴が続々と続いていた。


……備考欄に記された文字は、彼女が偽名を使ってでも隠し通したいたい秘密。



"本名 桜雅咲菜"



紙面から目を離し、ふ、と息をひとつ吐く。




「……“平凡”なんて、君から最もかけ離れている言葉じゃないか」