宵にかくして




いつも穏やかでにこにこしている宗英さんが、こんな顔をするなんて珍しい。


なぎ兄とかや兄の"立場"って……なんだろう?


「え、っと……宗英さん、なぎ兄とかや兄の立場って……?」


きゅ、と指先でスカートの裾を握りながら、宗英さんの答えを待つ。


すると宗英さんは一瞬、ティーカップを持ったまま静かに目を細めて、すぐにいつもの温かな笑顔に戻る。



「……そうか、蒼唯さんはまだ知らないんだな。急な転入だったから、仕方ないね」

「知らない……?」

「確かに、彼らは秋霜の中でも"特別"目立つ生徒だ。眉目秀麗、成績優秀、出身だって……ああ、それは置いておくとして。
1番の理由は─────……」



瞬間、にこりとした満面の笑みで。


「自分の目で確かめてみなさい」

「っええ……!き、気になります……っ」

「すぐに分かるよ。彼らの人気は凄まじいからね」


あははとおちゃめに笑う宗英さんは、残っていた紅茶を飲み干すと、それにしても、と話題をそらした。