宵にかくして

 


のほほんとしている宗英さんに自然と笑みがこぼれる。



懐かしいなあ。
あの時も、宗英さんは美味しい紅茶を淹れてくれたんだっけ……。
  


「まさか、凪くんと茅くんに加えて、君まで我が学園に来てくれるなんてね。……律くんから相談された時は驚いたよ」


にこにこと笑う宗英さんのセリフに、ドクリと心臓が音を立てた。
……"律"は、私のお父さんの名前。


私の祖父と宗英さんが古い友人であり、その息子であるお父さんともずっと交流が続いていたらしい。私も幼い頃からたびたび遊んでもらっていたし、紅茶に興味を持ったのも宗英さんがきっかけ。



「すみません、ご迷惑をおかけしてしまって……」



そもそも、この学園に"編入"というのは前例があまりないのだとお父さんから聞いていたし、……諸事情でという形での転校だったのもあって、面倒な手続きも多かっただろう。
 


申し訳なさからしょんぼりと肩を落としていると、おだやかに微笑む宗英さんがゆっくりと首を振る。



「蒼唯さん、私はすごく嬉しかったんだよ、……君が私の学校を選んでくれて。凪と茅と君のことは、孫同然に思ってるんだから」


「宗英さん……」



やっぱり、やさしい方だなあ……。
ありがとうございます、と頭を下げれば、ティーカップに温かい紅茶を注いでくれる。