宵にかくして





 

「蒼唯咲菜です、よろしくお願いします」


自己紹介中もぐさぐさと突き刺さる視線とひそひそ声、……い、居心地が悪すぎる……。


会長さんの横を歩いてしまった+思わぬ至近距離(※これは不可抗力)の罰が当たってしまったのだろうか。さっきから女子生徒からの視線が鋭いのは、……気のせいだと思いたい……!



「蒼唯さんの席は、1番後ろの窓側ね。……あら、秋月くんの隣」


あなたラッキーね〜なんて先生にこそりとささやかれ、首を傾げる間もなく女の子たちの歓声に遮られる。


「蒼唯さんいいなあ……!秋月くんのとなりっ」

「あ〜ずっと空席だったのについに埋まっちゃった……」


……また、秋月……?
至る所でひそりと呟かれる言葉に、なにか嫌な予感がするなあ、なんて。


鉛のような重い足取りで席まで向かい、席に着く。そして恐る恐る視線を隣に合わせてみる……と。



「(ああ、やっぱり……)」


面倒くさそうに頬杖をつきながらこちらを見つめる、……先ほどの会長さんそっくりの色素の薄い髪と瞳の美少年。