「そう言えば真琴、チャコどこ行った?」

「さあ?」

場に2枚のカードを出しながら真琴が答える。

「チャコォ~?」


教室を見回し呼び掛けるとストーブの周囲に集まる男子達の間から一本の腕がにょきっと出てきて、続いて人を掻き分けて小柄な少女が出てきた。


「そんなトコに居たんだ。」

少女はニッコリと笑いトランプの山を囲む輪に駆けていく。

「カチャコ、あんたまで…」

「えへへっ、ついね♪」
呆れる少女達の輪に混じったチャコの口がそう動く。


「ちょうど終わったし、チャコもやる?」

その問いに満面笑みで頷き返した。






彼女の名前は鹿渡井 茶瑚<カドイ チャコ>

ある事故で声を失い今は殆ど話すことはできない

でも、持ち前の明るさとやんちゃさは前と変わることはなかった。