キーンコーンカーンコーン


山奥の小学校の新しい学期が始まった



年が明けて約1週間


雪は膝下まで積もり、今もまだ窓の外は吹雪いている。



全校生徒250名で各学年2クラスずつの比較的小さな学校

この学校の始業式は各教室で行われ、式の進行や教師の挨拶は校内放送によって流される。





「寒いっ!」


一人の少女が呟いた。



ここは3年1組の教室

女の子3,4人が集まる机の上にはトランプの山

彼女達は冬期中のみ学校に持ち込みを許されたトランプで大富豪の真っ最中だ。


少し離れた机では、まだ冬休みの宿題が終わっていない生徒が必死で問題集と向き合っている。



「うん、寒~…ストーブつけてんのにね。」

輪の中の一人が教室の後方に設置されたストーブの方を見る。

そこには人だかり

殆どの男子がストーブの周りに集まり暖をとっている

「ちょっとあんた達!またストーブに集まって、こっちまで暖かい空気来ないじゃん!!!」


「だって寒ーんだもん。」

「うちらだって寒いよ。」

女子のブーイングが始まる。

「ねぇ真北クン達さぁ、宿題終わってんの?」

頬杖をした一人が男子達に問い掛ける。

「……」

フイッと何人かが顔を背けた。

「終わってないんだね♪」

クスクスと笑う女子達。