幸い、俯いているから愁斗には見えていないけれど。

「大丈夫じゃないじゃん!なんで平気そうな顔するの。じゃあ俺がおぶるから、今日はもう帰ろうか」

「え、私重いし、愁斗花火見たがってたのに…。ほんとにいいの?平気だよ、花火見てから帰ろーよ」

この日の花火をすっごく楽しみにしていた愁斗。

私の怪我なんかで台無しにしたくなかった。

「ばか!りっかがこんな怪我してんのに花火見たいとか思うかよ。花火は毎年あるんだし」

「でも…。」

「とりあえず乗ってって。ほら」

半ば強引に背中に乗せられて。

愁斗がゆっくりと歩き出す。