昨日の友は、今日の旦那様

 おまけに、寄せ集めなのでメンバー同士の絆もなく、二年もせずに事務所側から解散させられた。
 その後、芸能界の闇に耐えられず、音楽の道は諦めた。
 30を過ぎてもまだ、自分探しをしているような身では、結婚する資格などないと思っている。
 友人や親類から、
「そこまで大真面目に仕事のことばかり追求し続けるより、少しでも若いうちに結婚したほうがよくない?女はそのほうが幸せでしょ」
 などと言われたのが不愉快で、ますますムキになり、結婚に逃げることだけはしないと決めていた。

 大学の四年間、学校は違っても、同じ学生会館で暮らしたケンジとは、仲間たちの中でも特に親しい間柄で、それは卒業後も変わらず、今に至る。
 しかし、ふたりの間に何かあったわけでもないので、ケンジには誰か好きな人でも居るのか、それともあまりそういうことに興味がないのかと思っていた。

 それなのに、今になって突然⋯⋯。