昨日の友は、今日の旦那様

「今日だって、俺⋯⋯主役の花嫁より、ドレスアップしたノエミのことばっかり見てた」
 急にそんなことを言われても、困惑してしまう。
「どうして?」
「どうしてって⋯⋯そんなの、理由はひとつしかないじゃん」
 私だって、本当はケンジのことはずっと憎からず思っていたし、それこそ学生時代から、仲間たちにも、お似合いだと冷やかされ続けてきた。
 でも⋯⋯。

 私は、音大ではない大学に通いながらも、ドラマーになりたいという夢があり、大学四年生の頃、寄せ集めのアイドルバンドのドラマーとしてデビュー。
 しかし、曲はいつも外部からの提供。ヒット曲らしいヒット曲もないのに、最も売れた曲が、当時人気だったエストニアのガールズバンドの曲の盗作だと指摘された。
 バンドのスタイルも、もはや何番煎じかわからず、私も含め、メンバー全員が明らかに実力不足。