昨日の友は、今日の旦那様

「いつからそんなに理屈っぽくなった?俺は、ノエミの奔放さに惹かれたんだよ」
「若い頃は、それでよかったかもね。だけど、ずっと同じじゃいられない。ずっと変わらなかったら、誰もが私をダメな女だって思うわ」
「そんなに、他人の評価が気になる?」
「⋯⋯」
「何の責任もない人たちにダメな女だと思われるのと引き換えに、絶対に裏切らないヤツとの未来を手に入れるのは、悪くないと思うけど」
「だから⋯⋯自信がないって言ったでしょ」
「ん?」
「大事なのは、言葉より態度だとしても、やっぱり言葉でハッキリ聞かせてほしいの。私、自分には愛されるだけの価値があるっていう自信がないから⋯⋯」
 ケンジの目をまっすぐ見つめて懇願した。
「ノエミ。俺は⋯⋯」
 顔を覗き込んでくるケンジ。

 自分でも信じられないことに、私は、その顔を強く引き寄せ、唇を奪った。
 理由?欲望に正直になっただけのことだ。