昨日の友は、今日の旦那様

「何なのよ⋯⋯えっ!?」
 ケンジは、後ろから私に抱きついたままだった。
 確か、店内でダブルのウォーターベッドを見つけ、寝心地が最高だとふたりして感心していたところで、ぷつりと記憶が途絶えている。
 あろうことか、私たちは、店のウォーターベッドの上で居眠りしてしまっていたらしい。
 怒声の主は、この店の制服を着ていて、見覚えのある顔だ。
「ノエミ、こいつのこと覚えてない?俺と同じ大学だったナカジマ」
「あ⋯⋯⋯昔、何度かグループで遊んだわね。お久しぶりです」
「こちらこそ、ご無沙汰してます。って、ケンジ!お前、店の展示品のベッドでいちゃつきまくった末に、爆睡するバカがいるか!?」
「すまんすまん。これの購入、検討しておくからさ」
「ああ。人の職場でいちゃつかれるのはムカつくけど⋯⋯何はともあれ、おめでとう」
「サンキュ」
 私は、二人の意味不明な会話の内容に唖然としてしまう。