昨日の友は、今日の旦那様

「では、ブーケトスを行いますので、今からお名前を申し上げた女性のお客様はこちらにお集まり下さい」
 今日は、同じ学生会館で大学の四年間を共に過ごした友人の結婚式。
 二次会で、司会者がそんなことを言い出し、内心、うへぇ⋯⋯と思った。
 普段、おいしい料理を腹がはち切れるほど食べる機会もないので、ご祝儀の元を取る勢いで、むしゃむしゃと食べまくる。
「ノエミ、名前呼ばれてるけど」
 隣で、友人のケンジが言う。
「嫌よ。この歳で、迷信に血眼になるなんて、みっともないじゃない」
「単なるイベントなんだから、行ってあげたら」
 司会者がしつこく名前を呼ぶので、渋々、私も独身女集団の元へ向かう。
 なるべく、飛んでこなさそうなところに居たほうがいいな。
「じゃあ、いくよー!」
 場が盛り上がる中、ブーケは何故か本来は飛んでこないはずの、明後日の方向に飛んで⋯⋯きた。