「きりーつ、礼」
号令がかかり、ホームルームが終わる。
と。
「片桐く〜ん」
「ん?」
俺はため息をつきそうになるのを堪え、笑顔で振り向く。
するとそこには案の定、顔を紅潮させた女子が見上げていた。
あーっと……誰だっけ。
「突然でごめんねぇ、片桐くんって好きな子いる?」
それは突然すぎるだろ。
「俺、あんまそういうの興味なくてさ」
「だったら今度、二人で遊びに行かない?」
いや話聞いてた?
恋愛に興味ない→遊びに行くってどんな思考回路でそうなるんだよ。
これだから面倒くさい。
結局のところ、俺の顔しか好きじゃないくせに。
俺について、何も知らないくせに。



