悲劇のセイレーンにささやかな愛を




「この街に、住んでるんですか?」

「……」



またもや、黙って俯く。

ここに住んでいる訳ではないのか?
まぁ、確かにこんな容姿の女子がいたら噂にはなっているだろうしな。

見た目からして、俺と同い年かそれより上な気がする。



「俺、高校二年生なんですけど」



そう言うと微かに首を傾げた。



「えっと……あ、16歳で」

「……っ!」



いきなりコクコク、と首を縦に振る彼女。



「同い年?……高校はどこに行ってるの?」



慌ててタメ口に直した。

危ない、いくら大人っぽくてもそういうのは見た目で判断してはいけない。